懲戒解雇と諭旨解雇と普通解雇と整理解雇。違いわかりますか?
懲戒解雇、諭旨解雇、普通解雇、整理解雇・・そしてただの解雇。
ニュースなどを見ていると、こういう文字を時折目にします。
が、普通に働いている限りあまり縁がないものなので、意外に正確な違いを認識していない方が多いものであります。
解雇と退職は「会社をやめる」という一点については同じです。
しかし、それを執行する権利主体が違います。
ざっくり言うと、退職は「被雇用者側が権利を行使」して行い、解雇は「雇用者側が権利を行使」して行うものです。
解雇は大きくわけて「懲戒解雇」と「普通解雇」にわかれます。
懲戒解雇(公務員の場合は懲戒免職)
就業規則で定められている懲戒解雇にあたる理由となるような行為があった場合に、懲罰行為として行われる解雇です。
この理由や理由ごとの懲罰の種類などは就業規則にかかれていなければならないのですが、まあ、「長期の無断欠勤、会社の金品の横領、職務・会計上での不正、重大な過失による業務の妨害、重大な犯罪行為・・」などが理由と考えればよいです。
これは文字とおりの「クビ!!」です。解雇予告もなく、予告手当もありません。それに、一度懲戒解雇をされたりすると、なかなか再就職時に調査されてはねられるとか、結構厳しいことになります。
普通解雇
戒解雇以外の理由で行う解雇すべてです。
こちらは、30日前に解雇予告を行い、解雇手当を支払うなどの手続きが必要です。解雇に相当する理由や種類などが、就業規則にかかれていないといけないのは同じです。
解雇に相当する理由の例としては「怪我や病気により労働できない状態、著しい職務怠慢、暴力や暴言があり業務への影響が大きく、注意指導に従わない状態・・」などの被雇用者側が原因となるものと、経営不振等による余剰人員削減などの雇用者側が原因になるものがあります。
整理解雇
普通解雇の中に含まれます。
上記の経営不振等による余剰人員削減などの理由での解雇のことを他の理由と区別して「整理解雇」と言います。
整理解雇は、以下の4要件にすべて適合しているかで有効・無効の判断がされます。
- 本当に人員整理の必要性があるか
- 解雇回避の努力義務を行なったか
- 被解雇者選定に合理性があるか
- 説明・協議は十分に行なわれたか
当たり前ですけど、雇用者側には最大限の解雇回避の努力が求められます。
諭旨解雇
本来は懲戒解雇だけど、情状酌量により普通解雇扱いにしてあげよう・・とか。
懲戒解雇の前に自発的に退職を申し出る形にさせてあげようという風にすることを、諭旨解雇といいます。
後者の自発的な退職を申し出る形にしようというのは「退職勧奨」ともいいます。
実際、懲戒解雇の理由に適合するのかが微妙な場合とかもあるので、そういう場合にも「退職勧奨」をしたりしますが、それを脅したり、嫌がらせをしたりして無理やり退職をさせようとすると「退職強要」として違法と判断される場合もあります。
まとめ
例えば。
ドラマとかを見ていると、「お前は、クビだ!」とかいう発言がよくあります。
米国のトランプ大統領などは乱発していたらしいです。
でも、日本では労働基準法があるので、そう簡単にクビを切れません。
相応の理由と手続きが必要です。
だから、経営者に従わないからとか、告発とかされると都合が悪いみたいな会社側都合で、一方的に社員をクビにはできません。
だから、ブラック企業関連のニュースなどでも、会社側が内部告発などをした労働者に対して命令違反とかなんとか理由をつけて解雇または退職させようとして、それに対して労働者側が、これは退職強要だと訴えて戦っている・・的な構図が起こりえます。
こういうニュースで言葉を見た時に、解雇の種類についての知識があると、でてくる言葉で背景になっている事情もなんとなく見えるようになるので・・ちょっとだけ・・理解がすすみます。