労務管理って言葉の基準が定まってない?
人事労務管理なんて、ブログのタイトルとかに気楽に使っていますが、実は「労務管理」という言葉は、結構ややこしかったりします。
意味が難しいとか、複雑だというややこしさではなく、基準が定まらないややこしさなんですけどね。ためしに、本やサイトで言葉の意味を調べてみても、「なんとなく迷う」感じになります。
いくつか引用してみます。
日本人材育成協会(http://jinzai.org/roumu.html)より
労務管理とは一言で言えば「労働者・人材の有効活用」という事です。「生産性を上げる事」「利益を上げる事」「商品を開発し社会に還元する事」等、企業としての目標を達成するために、労働者にやる気を出して働いてもらうことを目的とした人材の活用を意味します。
コトバンク(労務管理(ろうむかんり)とは - コトバンク)より
従業員の賃金・労働時間など労働条件一般,福利厚生,労使関係など,おもに組織労働者に対する集団的な管理をいう。個々の従業員に対する採用,配置,人事考課など個別的管理を内容とする人事管理と区別されるが,両者はしばしば混同され,同義に用いられることが多い。
Wikipedia(人事労務管理 - Wikipedia)より
戦前の日本においてはホワイトカラーを対象とする「人事管理」とブルーカラーを対象とする「労務管理」は別個に扱われていた。戦後はこのような区別がなくなり、論者によって様々な意味で使用されるようになったが、近年は両者を合わせて「人事労務管理」と呼ぶのが一般的だ。
どうですか?根っことしては同じことが説明されていて、かつ、どれも正解なんだと理解はしても、見比べると「なんとなく迷う」感じがしませんか?
実は、人事と労務という言葉については、法的な区分があるわけでもなく、慣習的に確立された明確な区分というものも、あるような・・ないような・・という状態です。
なので、例えば会社組織で「人事担当」と「労務担当」で仕事範囲を決める時の取り決めとかで個別の基準を定義して区別しても、いやいや同じ意味だと解釈して使っても、正しいとか間違いだということにはならないわけです。
強いて「人事」と「労務」の範囲を定義して区別するなら、こんな感じになるんじゃないかと思います。コトバンクの記述に近いですかね。人事は、採用・配置・異動などを「個人」レベルで扱う職務範囲とする。
- 労務は、労働条件や労働環境を「集合」レベルで扱う職務領域とする。
ちなみに、厚生労働省の労働基準局が発行されている「やさしい労務管理の手引き」というパンフレットの記載内容も、範囲としては上記の定義から逸脱はしていません。
ということで、本ブログでも「人事」と「労務」という言葉を、使い分ける必要がある時は、そのような意識で使います。