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人事・労務・給与・就業の「あ、そうなんだ」

仕事をしながら、「あ、そうなんだ」と思ったこと、あれこれ

なんで今頃、同一労働同一賃金なのか?

そうなんだ(労務)

最近、ニュースとかで「同一労働同一賃金」という言葉がよくでてきます。昔からある言葉なのに、なんで今頃、政府が検討して、ニュースなんかになってるんだろうと思って、自分なりに調べてみました。

 

もともとの同一労働同一賃金の考え方自体はシンプルです。

 

一言でいうなら、「同一価値の労働(仕事)をする労働者に対しては、同一水準の賃金が支払われるべきだ」ということです。国際労働機関(ILO)で、同原則をILO憲章の前文に挙げて、基本的人権の一つとしている位、重要だとされています。

 

この、性別・人種・宗教・国籍・雇用形態等に関係なく、労働の質が同等なら、同一の賃金が支払われるべきだとの考えの根っこにあるのは、職業における差別の廃止です。正しいですし、当然のことですよね。

 

日本でも、労働基準法などで、性別や国籍・信条・社会的身分などによる賃金の差別的扱いを禁じていたりしますので、上記の考え方を受けた、一定の考慮はすでにされていると言っても良いと、思ってました。

 

ですが、「同一労働同一賃金の導入」が、今更になって検討され、ニュースになっているということは、まだ、日本での対応は不十分だと、政府は考えているということのようです。

 

たしかに、職務記述書(ジョブ・ディスクリプション)などに基づき、「仕事」を基準に賃金を決める米国などと違い、「人」を基準に賃金を決め、ひとりの人が様々な仕事をこなすことで組織の生産性をあげるやり方をとる日本では、「同一価値の労働」という観点がイメージしづらい部分はあります。

 

だから、同一労働同一賃金を、仕事で雇用する考え方とセットで導入するべきだという人もいます。

 

だけど、仕事で賃金を決めるということは、「例えば、コピーするのが仕事で雇われた人間がいたら、その人が不在の時に、自分が代りにコピーをすると、その人の仕事を奪うことになる・・だから頼まれてもできません。」 と言われるリスクを受け入れることでもあります。(実際に、こういうことはあるみたいです)

 

そのような考え方が、日本で定着するとは思えません。

 

なのに、何故今頃「同一労働同一賃金」なのか?という疑問をもって、資料をみると、今政府で検討されている「同一労働同一賃金」の内容は、かなり限定的なようです。(厚生労働省の 平成28年12月20日 同一労働同一賃金ガイドライン案を参照して書いています。)

 

政府で検討されている「同一労働同一賃金」は、「いわゆる正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者)と非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指すもの」です。

 

しかも、資料の例などに「無期フルタイム労働者と同等の能力を蓄積している有期雇用労働者・・」などの記述があるように、能力の違いに焦点をあてたりしていますので、「同一価値の労働」という観点も、微妙にぶれています。

 

以上のことから、まとめてみます。

  • 今、日本で話題になっている「同一労働同一賃金」の話を、欧米などで行われている「同一労働同一賃金」と、同じ土俵で考えるものではないみたいです。
  • すでに労働基準法などで考慮されている部分だけでは正規雇用労働者と非正規雇用労働者の不合理な待遇格差の解消には不足だったので、そこを改善しようということだと理解するのが近いようです。

 

こんな感じの理解でいいんじゃないでしょうか。