人事・労務・給与・就業の「あ、そうなんだ」

仕事をしながら、「あ、そうなんだ」と思ったこと、あれこれ

やりがい搾取って洗脳みたいなもの?

「やりがい搾取」という言葉を始めて聞いた時は、「やりがいを搾取する=やる気を奪う」ことだと勘違いしていました。 

でも、実際の意味はまったく違いました。 

金銭による報酬の代わりに“やりがい”という報酬を強く意識させて、不当に安い賃金や無償の長時間労働サービス残業)とうい、労働法上不当であるはずの行為を正当化することなんですね。 

”やりがい”って、言葉に人は弱いですからね。 

"やりがい"がある仕事だから、自分の好きなことをやらしてもらってるんだから・・みたいな思いで、安い賃金で長時間労働させられているのに、それをおかしいとも思わず取り込まれて働いているとしたら・・・確かに「搾取」されてます。 

ちょっとした「洗脳」みたいにも感じますね。 

「やりがい搾取」という言葉は、東京大学教授の本田由紀先生が、2007年頃から著書とかで使われたところから、広まったということですが、まさに言い得て妙だなと感心します。 

などと考えていると、日経ビジネス河合薫氏が、こんな記事を書かれているのを見つけました。

business.nikkeibp.co.jp

 

仕事にお金以上の価値があると言ったCMに対するツッコミから、うまく現在の労働問題につなげていて、かなり面白かったです。 

個人的に、例えば職人を目指す若い人が、安い賃金と厳しい労働に耐えてでも修行をして、一流の技を身に着けたいと思って働く時期があったりするのは、否定する気にはなれません。 

労働に見合った対価が十分に得られていなくても、高い志をもって、ボランティアやNPO等で活躍している人たちについても同様です。 

ただ、「アルバイトやパートタイマーを安価な労働力としてこき使うための手段として、"やりがい"を使っている」経営者もいるということなんでしょうね。 

例えば、正社員よりも安く使える労働力であるアルバイトなどに、"やりがい"をえさにして、責任の重い仕事を押し付けるなんてのも、結果的には「やりがい搾取」なんだなとわかります。 

正直、見分けるのは、むずかしいです。 

でも、結局は

  • 自分だけの考えで、やりたいと思ったのなら、ひたすら頑張ればいい。
  • でも、他人から「やりがいがある仕事」だとか「好きなことを仕事にできているんだから」とか、ふきこまれて、そう思っているかもしれないと、少しでも思うなら立ち止まって考えましょう

ということなんじゃないですかね。