106万円が「壁」と言われるようになった理由を知っていますか?
結婚してて、扶養対象配偶者になっている奥さんがパートで働いている場合に103万円の壁を意識している人は結構います。
103万円の壁
これは年収が103万円を超えると、夫の扶養対象と認めてもらえなくなって、奥さん自身が所得税を払わなければいけなくなるラインです。
実際には、夫の所得税計算でも扶養親族数が減ると同じ所得でも沢山所得税が控除されるようになりますし、年末調整などの配偶者控除も受けられなくなるので、夫と妻のダブルパンチで家計に響くから大問題になるわけです。
あと、個人住民税がありますね。
住民税は地方自治体によって差がありますが、だいたい前年度の年収が100万円を超えると支払い義務が生じます。
なので、奥さんから見ると、自分の収入から所得税が引かれる+夫の税金が増える+自分の収入から住民税が引かれるようになる・・というトリプルパンチなわけです。
だいたいの目安として、奥さんの年収が103万円を超えると150万円位までは、家計全体としては手取り額が減る「働き損」が発生する可能性があると言われてる(130万円を超えるあたりで社会保険料負担も発生するからで、税金だけの話ではないですけど)ので悩ましいですね。
106万円の壁
最近は、それに加えて「106万円の壁」という言葉もよく目にします。
これはなんぞや?というと、奥さん自身が厚生年金保険・健康保険の保険料負担が必要になるかどうかのラインなんですけど、ちょっとややこしくて、税金と違って、年収がこの額を超えたら・・という単純なものではありません。
ですが、106万円という金額が一人歩きして、税金と同じように考えてしまっている人が結構いるので、ちょっとそれについて書いてみます。
そもそも、社会保険とはなんぞや・・です。
社会保険は以下の5つの総称です。
で、このうち医療保険+介護保険、年金保険については、会社勤めしている人が加入する「健康保険・厚生年金保険」と、それ以外の人が加入する「国民健康保険・国民年金」があるわけですね。
今回の106万円うんぬんの話は、会社勤めしている人が「健康保険・厚生年金保険」に加入しなければならない条件のことを指してます。
もともと、パート・アルバイト等であっても、1日または1週間の労働時間および1か月の所定労働日数が、通常の労働者の4分の3以上・・つまり週30時間以上・・あれば加入させないといけないという決まりがあって、これはかわってません。
それに加えて、適用拡大として以下のルールが2016年10月から追加になったわけです。
- 週あたりの決まった労働時間が20時間以上
- 月当たりの決まった賃金額が88,000円以上
- 雇用期間の見込みが1年以上
- 学生ではない
- 従業員数が501人以上の会社である
- または従業員数500人以下だが社会保険加入の労使合意がある会社である(2017年4月から)
106万円というのは、上記の月当 88,000円の12ケ月分=約1,056,000円から来ているのですけど、金額だけでなく、上記の条件をすべて満たさないといけないという点が、税金と違います。
夫の扶養になっている奥さんから見れば、上記の条件を満たして「健康保険・厚生年金保険」に加入して自分で保険料を支払っても、追加で年間10数万円控除される額に見合ったメリットは、正直、ないと思います。
多少年金が増えるとか、傷病給付や出産給付が多少有利になるとかのメリットを言われても、そもそも、年金自体がどうなるかわかりませんしね・・。
でも、夫の扶養ではなく、自分で国民健康保険や国民年金にはいっている人なら、会社で社会保険に加入すると間違いなく保険料の負担は減ります。なにせ、会社が半分負担してくれるようになりますから。
契約時間と実働時間で差がある場合は要注意
気をつけないといけないのは、契約と実態で労働時間が違う場合です。
週30時間以上働くなど、契約の時は加入条件を満たしていたので、社会保険に加入したけど、実際は諸々の事情があって、契約通りには働けてないのがそれに当たります。
もし、その働けていない状態が続くのなら、契約を見直した方がいいです。
個人にとっても、元々得られるつもりの収入より働けなくて減ったところから、保険料が引かれるのでダブルパンチですし、会社にとっても、本来負担しなくていい保険料を負担し続けていることになります。
パート・アルバイトの多い職場だと結構シビアな話題で、そういう観点で契約を見直してみたら、社会保険料の会社負担額だけで数千万円のコストダウンになった・・とかいう話も聞いたことがあります。
会社でそれだけあったということは、本来引かれる必要のない保険料を、個人でも同じ位の額余分に払っていたってことですからね。
気をつけるだけの価値はありますよ。