人事・労務・給与・就業の「あ、そうなんだ」

仕事をしながら、「あ、そうなんだ」と思ったこと、あれこれ

働き方改革と少子高齢化とのつながり?

言葉自体は「働き方改革」と聞かない日はない位、広まってますよね。でも、「働き方改革」の言葉の意味の捉え方は、人によってバラツキがあるみたいです。 

割と多いのが「長時間労働の抑制」の観点のみで語られるケースです。 

確かに「長時間労働の抑制」は重要なテーマですし、問題の根っこではあります。でも、単純に「早く仕事を終えて、ワークライフバランスのとれた生活をしましょう。」だけでは語れない、もっと重要な観点があるみたいです。 

それについて、調べてみたので、簡単にまとめてみたいと思います。

 

働き方改革の根っこ

 

どうも「働き方改革」の根っこは、「少子高齢化による人口減少問題」みたいです。 

少子高齢化」「人口減少」の問題は、非常に深刻です。総務省|平成24年版 情報通信白書から、引用するとこんな予測になってます。

総人口は、2030年(平成42年)の1億1,662万人を経て、2048年(平成60年)には1億人を割って9,913万人となり、2060年(平成72年)には8,674万人になるものと見込まれている。

また、生産年齢人口(15~64歳の人口)は2010年(平成22年)の63.8%から減少を続け、2017年(平成29年)には60%台を割った後、2060年(平成72)年には50.9%になるとなる。

高齢人口(65歳以上の人口)は、2010年(平成22年)の2,948万人から、団塊の世代及び第二次ベビーブーム世代が高齢人口に入った後の2042年(平成54年)に3,878万人とピークを迎え、その後は一貫して減少に転じ、2060年(平成72年)には3,464万人となる。

そのため、高齢化率(高齢人口の総人口に対する割合)は2010年(平成22年)の23.0%から、2013年(平成25年)には25.1%で4人に1人を上回り、50年後の2060年(平成72年)には39.9%、すなわち2.5人に1人が65歳以上となることが見込まれている。

この結果、こんな未来が待っているのは、誰でもわかります。

  • 国内消費が低迷する。⇒ 経済マイナス成長
  • 労働力人口が不足する。⇒ 経済マイナス成長
  • 年金・健康保険などの社会保障がすべて破綻する。⇒ 国庫財政破綻

 お先真っ暗ですよね。とにかく、人口が減って、若者が減ると国は滅びる方向に向かうということなので、根本的な対策としては「少子高齢化に歯止めをかけて、人口の減少を食い止める」しかないわけです。 

少子高齢化に歯止めをかけるのに打てる手は、実際のところ「環境を整えて、子供をどんどん産んでもらうようにする」か、「海外からの移民を受け入れて、多民族国家へ移行する」かのどちらかしかありません。 

それに、直近の課題として、すでに「労働力人口の不足」は始まっていて、それに対する対策は急務です。 

そうなると当然、浮上してくるのが、「高齢者」や「働いていなかった主婦」に労働力になってもらえばいいのじゃないか?ということです。

とはいえ、それらの人たちは働きたくなかった訳ではなく、子供が小さいとかの「制約のある働き手」だから、今までの、「フルタイムで長時間労働当たり前。仕事の後の接待にも付き合わないとダメ」みたいな労働環境では、居場所がないので働けなかった人も多いわけです。 

だから、長時間労働前提はやめよう。拘束時間を短くしよう。在宅勤務などの働き方のバリエーションを増やそう・・という「働き方改革」によって、「制約のある働き手」が労働力になれるようにして、労働力不足問題を解消しようというのが、ひとつ目の大きな目的みたいです。

 

もうひとつは、少子化対策に関わることです。 

少子化対策は、女・子どもの問題と捉えられていたのですが、実は、企業全体の労働時間の問題、特に男性の働き方の問題の方が大きかったということが理解されてきたということが大きいみたいです。 

実際、「リクルートスタッフィングという企業で、深夜残業が86%削減されたら、企業内出産数が1.8倍になった」とか、「夫の週末の家事・育児時間がゼロ時間の家庭では、その後11年間に、第2子が生まれたのは約1割。一方、夫が週末に6時間以上家事・育児に関わった家庭では、8割が第2子に恵まれた。」という事実が報告されてます。(こちらの記事から引用しました) 

だから、「働き方改革」で早く帰宅して、夫にも妻にも結婚して子供でも持とうと考える余裕をもってもらうことで、少子化に歯止めをかけて、ひいては将来の「国内消費低迷と社会保障の破綻を引き金に、国が滅びる」という最悪のシナリオを回避する手をうというということみたいですね。 

うーん。「働き方改革」って、思ったよりも深い、とても重要な話だったんですね。