人事・労務・給与・就業の「あ、そうなんだ」

仕事をしながら、「あ、そうなんだ」と思ったこと、あれこれ

給与計算を初心者が簡単にできる方法はあるのか?

給与計算を初心者が簡単にできる方法?ですが、結論から言えば、ありません。 

給与計算は、それなりに経験と知識が必要な業務です。

これは、間違いないです。 

でも、最近はそう言うと「給与計算が簡単にできるソフトがある。ネットで見てみたけど誰でも簡単にできるみたいに書いてったぞ・・」と反論されることがあります。 

今回は、そのことについて書きたいと思います。

 

給与計算と一口に言っても、ざっくりわけると4つの部分にわかれます。

  • ① 給与計算をする前に、対象者や支給・控除する金額を確定させる部分
  • ② 給与計算を正しく行えるように、計算式や換算表を正しくする部分
  • ③ 給与計算を行って、支給額や納税額を確定させる部分
  • ④ 計算した結果を明細書として配付したり、振込・納税などをする部分

 

4つの中で、経験と知識が必要なのは、①と②の部分に集中しています。 

③の部分は、①と②が確実に行われていれば、給与計算ソフトがボタンひとつで計算した結果は、概ね信頼できますから、「かんたん」と言えないことはないです。 

④の部分もそうですね。これも、③が正しいという前提があれば、給与計算ソフトで印刷できたり、銀行振込用のデータも出力できますから、これも手間はかかるけど「かんたん」と言えないこともないです。 

つまり、「給与計算がかんたん」というのは、この③④部分だけのことを言っていることが多いです。 

つまり、「①と②の部分が、使う側の責任で100%間違いなくできているならば・・」という前提が隠れているわけですね。 

 

ある意味、これは当たり前です。 

何故なら、給与計算のソフトを提供している会社から手出しのできる範囲は、③と④の部分だけだからです。 

 

じゃあ、何故、①と②の部分で経験と知識が必要になるかです。 

簡単に言えば、「法律や会社の就業規則に従わなければならない」からです。 

社会保険料ひとつとっても、年齢や収入や雇用契約の内容で、控除が必要になったり、停止しなければいけないものがあります。 

税金もそうです。扶養親族の人数などによって税額がかわったりしますし、どの給与項目が課税対象で、どれが非課税で良いなども認識しておかないといけません。 

入社・退職・休職・異動・転居・家族変動等などの変化によっても、金額や支給・控除の有無がかわったり、日割りで精算が発生したりとかします。 

さらに、振込や住民税などの納付に影響がでたりしますから、法律の変更や銀行・市町村等の統廃合にも気を配っておかないと行けませんし、会社で独自の手当とかがあれば、その条件にあっているかどうかで手当の有無を判断しなければいけません。 

簡単な訳がないです。 

 

だから、給与計算ソフトを使っていても、「この法律の通りに処理するには、これで良いのだろうか?」と迷う局面が結構でてきますし、案外答えをだすまでに許される時間がなくてすぐなんとかしないと・・みたいなこともよくあります。 

そんな時に給与計算ソフトのサポート窓口に問合せができて、ある程度の知識を持った人間が、きちんと対応してくれるかどうか?が実は大きいです。 

法律や制度そのものの質問に答えを求めるわけでなくて、操作方法を聞くだけでも、対応する相手が、税や社会保険などの法律などについて基本的な知識を持っているかどうかで、全然違ってきます。。 

 

安さとか見栄えとかも大事ですが、給与計算ソフトを選ぶときには、「簡単!」みたいな表面的な部分以外に、そういう問合せをする手段がきちんと用意されているか?、きちんと対応してくれそうか?などのサポート面をよく見ることが、実は本当に大事なんですね。